保険を売らないファイナンシャルプランナーの畑野あきこです。
この記事では、お客様の相談内容とFPとしての提案内容を掲載しています。
今回は、住宅購入を検討するという新婚パワーカップルのお客様です。
相談までの経緯
今回の相談者は、都内にお住いのOさんご夫婦。ご主人は37歳、奥さまは34歳で、お2人とも年収はそれぞれ1,000万円近くあるパワーカップル。結婚式を挙げたばかりの新婚夫婦です。
結婚が比較的遅かったこともあり、早くローンを組んだ方がよいのではと考え、結婚直後から家探しを始められたとのこと。住宅予算を知りたいということで、今回ご相談いただきました。
相談項目として挙げられていた項目は以下の通り。
- 無理のない住宅予算を知りたい
- 老後までお金が足りるのか知りたい
- 共働き夫婦の家計管理方法を相談したい
面談までに用意した資料
課題のうち、住宅予算と老後までのお金の見通しについては、ライフプランシミュレーションを行うことで確認することができます。事前にいただいた情報をシミュレーションソフトに入力し、詳細は当日のヒアリングで調整を行うことに。
また、面談までに以下の資料を準備しました。
- 家の購入を決める前に知っておきたい「住宅の種類マトリックス表」
- 共働き夫婦の家計管理基本3パターン
1.家の購入を決める前に知っておきたい「住宅の種類マトリックス表」
住宅の種類というのは、「新築戸建て」とか「中古マンション」とかのことです。私自身が2年前に住宅を購入した際に感じたことは、「行く場所で何を買うかほぼ決まる」ということでした。
たとえば、地元の不動産屋さんはそのエリアの土地や建売りの戸建てを販売したい傾向がある。「中古リノベ」を謳う業者は、当然ですが中古物件を販売してリノベーションをすることに強みがあるし、その販売をしたい。「ハウスメーカー」や「住宅展示場」に行ったら、注文住宅を購入するのが既定路線になる。
大体の人は、まだ建売りがいいのか注文住宅がいいのか中古でもいいのか、よくわからない状態で上記のいずれかの販売業者に行くと思うのです。ところが行った先の業者で知ることができる情報は業者が販売したい住宅を売るための情報になってしまう。当然といえば当然です。そうすると、もうほかの選択肢は考えられなくなってしまうことも多いです。
でも、人生のなかでも大きな買い物である家を買うとき、それでよいのでしょうか。人生でお金が必要になるのは、住宅だけではありません。生活費、教育費、老後資金まで見据えてライフプランを組んでみて、無理のない予算で住宅を購入することが大切です。
今回のご相談者さまのご夫婦も、事前のシミュレーションをした限り、正直いって1億円を超えるマンションを購入してもお金が底尽きることはなさそうです。販売業者に行けば、それぞれのところで「業者が販売したい住宅を売るための情報」を聞いて、買えてしまう状況でした。だからこそ、人生を先々まで見通して本当に家にそこまでのお金をかけたいのか、どんな種類の家がどのくらいの相場なのか、ということを事前によく話し合ってから、住宅購入への一歩を踏み出すべきだと考えました。
2.共働き夫婦の家計管理基本3パターン
今回結婚直後ということもあり、家計管理の方法を相談したいという要望もありました。
共働き夫婦の家計管理を見ていて難しいと思うのが、「環境変化への対応」です。産休・育休中にどちらかの収入に変化があった場合。育休明けに働き方を見直し収入に変化があった場合。もともとの分担だと不公平感があったり、負担が偏ってしまうことも多いのではないでしょうか。
今回の資料では、たたき台として3パターンを作成し、それぞれのメリットデメリットをまとめました。ポイントは、収入の状況が変わったときに「見直す」ということを前提にしておくこと。結婚直後にお金の管理方法を話し合うのは、少しハードルが高いでしょうが将来的な働き方の変化も見据えておくこのはとても大切です。
面談の内容
面談当日。事前にヒアリングシートに記入していただいた内容をもとに、詳細を確認して入力しています。
奥さまは商社の総合職。子どもを持ちたい希望もあり、出産しても今の働き方を続けていきたいと考えておられます。一方、子どもの人数を含める家族の形が決まる前に住宅を購入するのは一定留意することがある、とお伝えしました。
それは、
- 子どもの人数によっては購入した住宅の部屋数などの条件が合わなくなる可能性があること
- 子どもの健康状態等によっては今の働き方を続けることが物理的に難しくなる可能性があること(それは奥さまだけに限りません)
「家が欲しい」と思うとそれだけで頭がいっぱいになってしまいがちですが、一歩引いて考えることも必要です。
シミュレーションをしてみると、1億円を超える住宅を購入しても老後までお金が持ちそうな見通しが持てました。
世帯年収が2,000万円にもおよぶパワーカップルにお金の悩みなんてあるのかな、と思ってしまいますが、「老後まで今のところ見通しが立っている」ということを知って心底安心したお2人の表情が印象的でした。
「老後2,000万円問題とか聞くので」と仰っていましたが、年収2,000万円を単純に12か月で割ると月収は167万円。そのうち6万円を30年間貯めれば単純計算で2,000万円になります。人は〇千万円という大きな金額を聞くと、冷静に計算できなくなるんだなぁと感じます。
また、奥さまが現役時代に働いていれば、年金もダブルで入ってきます。「老後2,000万円問題」で前提とされている高齢無職世帯の収入はおよそ18万円。その前提からしても全員に当てはまる問題でもないのです。
まとめ
今回は、結婚直後に家探しをはじめたため予算を知りたい、というパワーカップルのご相談者さまとの面談内容をまとめました。
パワーカップルの人たちは、億ションを買えるからこそ、業者に行く前に落ち着いてライフプランを考えていくことが大切です。「住宅の種類マトリックス表」も活用して、是非ご夫婦で話し合ってみてくださいね。
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